導入事例 株式会社エフアンドエム

中堅中小企業や個人事業主の会計サービス業務や財務・労務部門のコンサルティング業務などバックオフィス業務の支援を行っているエフアンドエムは、ファーストアカウンティングの経理業務の効率化ソリューション・サービス「Robota」を導入している。2020年3月の確定申告は、新型コロナ感染の発生で提出期限の延長措置がされたが、AI-OCRを搭載した「領収書Robota」により事務の迅速化を実現しているエフアンドエムが支援する顧客は、9割以上が期限内での確定申告を無事済ませることができた。
エフアンドエムが緊急時でも9割以上の顧客の確定申告を期限内に無事に終わらせることができたその取り組みとは?

課題

繁忙期が集中する記帳代行処理をいかに迅速化するか

エフアンドエムでは主に生命保険会社の営業職員の皆さん、いわゆる「生保レディー」の確定申告のために欠かせない会計業務を代行している。毎年3月半ばに確定申告をするのだが、前年の1年間に支出した経費の記帳代行サービスを行っている。顧客数は「生保レディー」で約6万人、その他の業種の方も含めると約7万人の記帳代行業務を行っている。

データセンター センター長 小野真也様

結果としてお客様への情報のフィードバックが迅速にできないことが悩みであったという。
エフアンドエムではこの問題解決のため、レシートや領収書などの証憑の読み取りを自動化するAI-OCR導入の検討を進めていた。何社かの製品を検討し、ファーストアカウンティングの「Robota」を選択した。
「Robota」を選んだ理由として、ファーストアカウンティングが会計業務に精通し、会計証憑に特化したAI-OCRを提供しており、「会計業務ならでは発生する、諸々の問題を私たちと一緒に解決していってくれると感じたことが大きな決め手となりました」(小野氏)
ファーストアカウンティング 代表取締役社長 森の「AIで、より簡便でスピーディーに」との考えが、エフアンドエムの「日々の業務でよりスピーディーにお客様の状況を把握し、課題を発見し、お客様に有益な情報を提供したい」との思いと一致した。

導入のポイント

自動化と人の作業を組み合わせてオペレーションルールをつくる
現場の納得感がスムーズな運用の鍵

導入体制としては、エフアンドエムの技術者2~3名、オペレーション部門3名それにファーストアカウンティングの3~4名のメンバーによりプロジェクトを推進した。

アカウンティングサービス事業本部の岩本一孝氏は次のように話す。「素人考えではAI-OCRを使えば100%の読み取りができるようになると期待すると思うが、実際はそのように完璧に事が進むわけではなく、全体の精度を上げていくためにどうするかを考える必要がある。読み取りのできない証憑のパターンをあぶりだし、それに対する対応を弊社とファーストアカウンティングの技術者との間で検討することで、着実に読み取り正答率を上げていった。」

さらに工程の中で、AI-OCRに任せる作業と人の作業をどう切り分けるか、オペレーション処理の細かなルール決めなどが大変であった。現実的には、実際に業務を進めながら日々修正して重ねていくところもあると言う。「自社のオペレーションにAI-OCR(自動化)を組み込む際には、AI-OCRで対応できる領域を整理し、人が対応すべき作業と切り分けて考えることがとても重要」(小野氏)

また、導入にあたって、現場では未知の仕組みを受け入れることになり、とりわけ人間の手で入力していた作業を機械がやる事に抵抗を感じる人も多かった。そのため、Robotaの導入によって業務が変わり、生産性が上がることを説いていった。またファーストアカウンティングにも、AI-OCRを導入することでどんな将来が待っているのか、どのくらい売り上げや利益に貢献できるかを一緒に考えてもらい、何回も社内説明会を実施した。

「『デモ動画だからうまくいくのでは?決まった証憑しか読めないんじゃないの?』と懐疑的な社員もおり、その場で実際に社員が取り出してきたレシートを使い、読み取りの実演をした。すると『本当にできるんだ』と納得し、中には『なぜもっと早く紹介してくれなかったのか』と言い出す社員まで出てきた」(岩本氏)

Robotaと人を組みわせた業務フロー

効果

顧客への情報入力フィードバックは約1か月から約2週間に短縮
ピーク時に必要な人員はこれまでの3分の2に

「Robata」導入前はパンチャーと呼ばれる特殊技能を持つ社員が、お客様から送られてくる紙の証憑に記載されている文字・数字を打ち込んでいた。お客様に結果をお返しするのに1か月程度かかっていたが、AI-OCRを利用することで最短で2週間程度で入力した会計データをお返しできるようになってきている。

さらに「Robata」を使うことにより、ピーク時でも記帳代行を行う人員が3分の2くらいになり、リソースの余裕を確保できている。

「今期は、新たな人員を投入せず、自動化で空いた人材をチャネルの新規開拓に投入できるようになった」(岩本氏)

今回、「Robota」導入の効果を一番実感したのは、確定申告であった。国税庁は新型コロナ騒動と時期が重なったため確定申告作業の遅延を想定し、2020年3月確定申告では、例年の3月15日締め切り以降でも申告を受け付ける旨の対応を発表した。エフアンドエムでは2020年1月から本格的にAI-OCRを導入し、スピーディーな業務処理を既に実現していたおかげで、お客様の9割以上が3月15日までに確定申告を済ませている。

新型コロナ対策で話題となったリモートワークについても、エフアンドエムではもともと導入はしていたが、AI-OCRの導入でより可能性が広がり、自宅にからオンラインでスピーディーに処理を済ませることができる体制にもなっているため、世間で言われるようなリモートワークへの移行による業務処理の混乱や遅延の影響は少なかった。

「オペレーションをもっと整えれば、チェック業務に関しては日本にこだわる必要もなく、海外に居てもできると思っている」(岩本氏)

アカウンティングサービス事業本部 本部長 岩本一孝様

今後の取り組み

「Robota」をフル活用した新規事業で
個人のフィナンシャルマネジメントサービスの提供を目指す

「Robota」はパッケージ化されており、中堅中小企業でも十分導入できる価格である。技術的な側面についてもファーストアカウンティングの強力なバックアップがあるので、導入会社側からは業務オペレーションを熟知している人材がプロジェクトに加わるだけで、中堅中小企業でも導入しやすい製品であると考えているという。

「今後は、個人の大量の領収書やレシートをAI-OCRでコストをかけないで読み取り、消費動向がつかめるマッピングデータにすることにより、より顧客に対して有益なサービスや情報の提供ができるファイナンシャルマネジメントのサービスを展開していこうと考えています。」(岩本氏)