2025年2月 マネックス証券主催 個人投資家向けセミナー 動画・質疑応答文字起こし
ファーストアカウンティング株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:森 啓太郎、以下、ファーストアカウンティング)は、2025年2月25日(火)にマネックス証券主催の個人投資家向けオンライン説明会に登壇しました。
代表取締役社長 森による決算説明の他、質疑応答まで含めた当日の動画がマネックスオンデマンドにて公開されました。このページでは質疑応答パートの文字起こしも掲載いたします。
質疑応答
- 1. アメリカ市場と日本市場
- 2. 競合と当社の優位性
- 3. 経理シンギュラリティ
- 4. 機関投資家様による当社の評価
- 5. 当社へのご要望(1)
- 6. 平均顧客単価
- 7. 採用と社内教育
- 8. 配当性向:増加の理由
- 9. アメリカ進出と特許戦略
- 10. 当社へのご要望(2)
- 11. 最後に:株主の皆様へ
1. アメリカ市場と日本市場
森: アメリカへ進出するということだが、日本マーケットの成長はあまり見込めないという事か?
小林: 全然そんなことないですよ。当社にとって日本はまだまだ拡大余地が大きい市場です。この国内市場での成長に加えて、アメリカが上乗せされる、ということです。
森:そうだよね。人種は違えども、悲しいときというのは例えば肉親を亡くしたときとかね。一方で婚約すると、どの人種でも物凄く良い顔をするんですよ。ドーパミンが出るからなんですけどね。喜びも悲しみも(人種を問わず)同じですし、言語が伝わるところは、必ず、お客様の課題、ERPの課題も同じでしょうし、業務改善をして生産性を上げたいというのはどこの国も同じなので。日本ももちろんマーケットはありますし、アメリカにも同じものが売れるという自信があるので、マーケットインする。日本も絶好調です。物凄い足元堅調で、プラス、アメリカでも商売させていただきます、ということですね。
森:アメリカがうまく行ったらもっと拡げたいけどね。アレクサンダー大王みたいにさ。
小林:ちょっと待って、そっちですか。
森:日本市場は小さいからね。外資系のSaaSさんから聞くと、日本の売上は全体の10%もないじゃない。いずれこの日本市場は小さくなっていく。ゆでガエルみたいになるわけにはいかないので、言葉が通じるところにはどこでも行く。マーケットがあれば、だけどね。
小林:チャレンジが終わらないですね。
森:終わるわけがないよね。終わったら、株式市場から退場した方が良いよ。チャレンジが終わったら、もう市場から撤退です。株主さんにちゃんと報いないといけないから。そう言う事だと思います。
2. 競合と当社の優位性
森:アメリカ市場でも優位性はありますか?アメリカだと強力なライバルがいないか心配です。というご心配を戴いていますけれども、アメリカ市場にもOCRの会社はあるでしょう?
小林:ありますね。
森:なんという会社ですか?
小林:あれ?言っていいんですか?
森:うん、ABBYY。
小林:ABBYYさんはアメリカの会社ですね。
森:元々ロシアベースですけれどもOCRとしてアメリカで有名な会社です。OCRの会社は、多分いっぱいあるんですよ。先ほどご説明差し上げたように、OCRだけだと経理処理は出来ないものですから、そういう意味では差別化として、仕訳をしたり、今回発表したシンギュラリティですね、経理シンギュラリティを実現してお客様へ提供していく。そういったものをやっていければな、と考えています。
3. 経理シンギュラリティ
森:シンギュラリティに基づく生成AIを用いた新事業について、お話しできることがあれば聞きたいです、と、ご質問いただいています。
小林:まず、何をもって経理の領域でシンギュラリティを達成しようとしているかというと、経理の知識やスキルを測るFASSという試験があり、(レベルA~Eの5段階で評価されるものですが)大企業のお客様ではレベルCは欲しいと聞いています。僕らのAIは学習を重ねて、昨年12月27日にレベルAを達成することが出来ました。レベルAは中々取れないです。ある公認会計士の方に受験していただいたところレベルBでした。それを超えることが出来るところまで行った。そこで、弊社は経理領域でシンギュラリティを達成できるのではないかと。今年中に。
森:経理シンギュラリティとかAGIは、世の中の方はどれくらいで考えていらっしゃるのでしょうかね。
小林:そうですね。この間、ソフトバンクの孫さんが発表なさっていらっしゃいました。向こう3年くらいかかるだろうとおっしゃっていたと思います。
森:人を超えていくのに3年くらいかかるということだよね。うちの経理領域におけるシンギュラリティはいつやろうとしてるの?
小林:今年以内、年末までには起こすことが出来るのではないかと。
森:起こりつつある、でしょ。説明した方が良いんじゃない?提供しているお客様もいるでしょ。
小林:シンギュラリティとは、照合や読取りではなく、人間による判断が必要な仕事です。たとえば弊社が昨年販売開始し、受注実績もある、資本的支出判定。これは資本的支出なのか、経費処理できるものなのかなのか(判断する仕事)。これは熟練の経理でないと出来ないと思われていた仕事でした。これを昨年製品化し、販売を開始することが出来ています。今年も資本的支出判定に続いて、前払いとか、判断が必要な仕事に踏み込んでいきたいと考えています。
4. 機関投資家様による当社の評価
森:通期決算の後の機関投資家さんとのミーティングはどれくらい入っているのですか、というご質問を戴いています。
小林:50件弱くらいですかね。
森:どんなところが多いのですか?
小林:今回ちょっと面白いなと思ったところは、オーストラリアとか、アメリカとか、ヨーロッパなど海外の機関投資家さんからの問い合わせが増えています。これは非常に嬉しいことだと思っています。
森:ちなみに既存の機関投資家さんとの面談は入っているのですか?
小林:入っています。
森:既存の投資家さんで言っていいところってどこなの?
小林:公開ファンドではアセットマネジメントOneさん、レオスさん、明治安田アセットマネジメントさんとか。公開ファンドではない機関投資家さんも幾つかいらっしゃいます。あと年金にも弊社は組み込まれています。これはちょっと嬉しかった。
森:機関投資家さんと同じクラスの、今日もご質問いっぱい戴いていますけれども、ドバイの投資家さん。
小林:ポドバスさんですね。
森:大きなシェアを持っていただいていますけれども、ポドバスさんとは打合せは入っているのですか?
小林:はい、入っています。今回もありますね。
森:会うんですか?
小林:はい、オンラインですが。
森:会う予定はない?
小林:それは、言える状態になった時にお伝えしたいと思います(笑)。
森:承知しました。何か、先方の対応は変わりましたか?
小林:変わらないですね。初めてお会いしたときから、弊社の評価は変わっていないと思います。僕らに会うまでに相当弊社を、弊社だけでなく色々な会社さんを、しっかり深く調査されたからだと思います。強い信念もあると思いますが、ベースには非常に深い調査があったからだと思います。
森:色々調査して、なぜウチを買って下さったんだろうね?
小林:リーダーシップを非常に高く評価いただいていました。加えて、弊社が作っている製品はマーケットが求めているもの、必要としているものだと。まだまだ伸びの余地が大きい、ということもおっしゃっていただいていますね。
森:なるほど。彼も非常に優秀でプロの方だと思いますけれども、機関投資家さん、(投資を)商売でやっていらっしゃる方々は、なぜファーストアカウンティングを、こんなに所有して下さるのだろう。通常、スタートアップの銘柄は買わないじゃない。なぜこんなにいっぱい、機関投資家さんが買ってくれているのだろうか。
小林:そうですね。月額平均収益、MRRと呼んでいるのですが、これが100万円前後で推移している。非常に珍しい、と。大体1,000ドルから1,500ドル、15万円から20万円くらいの壁を超えるのに苦労しているSaaSが多い中、弊社は突出して月額平均収益が高い、と。そこは大きく評価されていますね。
森:他にはどの様な事が評価されているのでしょうか?
小林:成長性じゃないでしょうか。これまでの軌跡ですね。これまで非常に高い成長性を記録してきた。今後も高い成長が期待できると。成長性も、弊社に期待いただいている項目ではないでしょうか。
森:機関投資家さんがよく言われる成長性の指標はどの様なものがありますか?
小林:ありましたね、、、えっと。
森:ルール・オブ・40ですね。成長率プラス営業利益率、なので、うちだと営業利益率10%で、40%成長、になってくると50(%)なので。ミニマムで営業利益率と成長率が足して40になれば良い。うちは40を優に超えているという事だと思います。
森:機関投資家さん、株主さんが他に評価してくれているところは何ですか?
小林:会社にいらしていただいて、雰囲気を見ていただいた後、皆さんがおっしゃるのは、社員が働いている雰囲気、皆集中して仕事に取り組んでいて素晴らしい、という評価を戴いています。これは嬉しかったです。
森:シンギュラリティは出ないんですね?
小林:今年になって、経理シンギュラリティは機関投資家さんから非常に大きく期待いただいています。これも、先ほど申し上げました資本的支出判定が出来ると証明しているわけです。ゼロから大規模言語モデルを作って、これまでの軌跡からして、経理シンギュラリティは今年起こりつつある、というのが真実だなと、面談をもって確信いただいているようです。
森:生成AIを社会実装しているSaaSがないと言われるので、そこは珍しがられているよね。シンギュラリティはね、社会実装している会社はない、多分そこが高く評価されている理由の一つかもしれないね。
森:機関投資家さんからいつもどの様なご質問をされているのでしょうか、というご質問をいただいています。
小林:粗利率が昨年、通年で大きく改善することが出来た。これはなぜですか?と聞かれます。
森:なぜ粗利率が良くなったのでしょう?
小林:ベースとして昨年の1月から、京セラさんよりトレーニングを受けさせていただいて、アメーバ経営を導入しています。この一環で、開発部の原価部門として通信費の工夫、削減に大きく成功しまして、これが原価率に大きな影響を与え、結果、粗利率が大幅に計画を超えたと。これも嬉しかったです。
森:そうだね。特に俺がやってくださいって言ったわけではなかったからね。自らコスト削減して、粗利率を改善するってすごいことだよね。エンジニアが優秀なんだよね。
森:ドバイの投資家さんに関するご質問がいっぱい来てます。どの様にファーストアカウンティングを発見したのでしょう。どの様なアプローチがあったのですか?というご質問です。
小林:言って良いんですか?
森:特に株価に影響なければ大丈夫じゃないかと。
小林:なるほど、そうですね。
森:なんか、公開出来ないようなアプローチだったらダメだけど(笑)。
小林:いや、そんなことはないですけど(笑)。ちょっと慎重になっちゃうので。初めにウェブサイトから問い合わせをいただきました。ずっと御社を、ファーストアカウンティングを調査してきて、非常に興味がある、とおっしゃられたので、ではぜひ面談を、と。森も私も英語を話せるので、通訳を入れる手間が無く、すぐに僕たちで出来るので、ぜひミーティングさせてくれ、と。それで実際にミーティングして、それ以降、株をどんどん買い入れしていただいてます。
森:なるほど。分かりました。
5. 当社へのご要望(1)
森:昨今、米国や中国で生成AIが盛んですが、ホット・トピックスについて、noteやIRニュースなど、なるべくリアルタイムで触れていただけると、会社の認知度向上や株価の安定に繋がると思うのですが、お考えをお聞かせいただきたい、と。IRに対する要望でございますね。
小林:これ、IR noteですよね。IRニュースもそうですが。気になっていました。
森:ちょっと検討してみたら?せっかく、ご指摘いただいているんだから。ちゃんと仕事してくださいとも取れますので。やらない理由はないよね。
小林:ありがとうございます。ぜひ検討してみます。
6. 平均顧客単価
森:チャーンレートは低位で推移していますが、一顧客あたりの単価はどの様に推移していますか?
小林:画面左側(決算説明資料のP38)、100万円前後で推移しています。これを導入年数別で分けると、(年数を経るごとに)どんどん上がっていく傾向があるのが当社の特徴です。これは、使うユーザーさんや量が増えること、使うサービスが増えること、この2つが原因です。ご契約後も、弊社の営業とCSが、お客様との面談を定期的に欠かさず行っています。提供中のサービスに不具合はないか、お困りのことはないか。加えて、経理業務には様々な仕事がありますが、僕らのサービス外で、お困りのことはないか、これが出来たらもっと仕事が楽になるとか、正確になるとか、課題は無いか。このようなやりとりを続け、必要に応じて開発チームにフィードバックし、製品を作り、お客様に提供する。これをずっと繰り返している会社です。この結果が、この導入年数別の既存顧客の平均収益の変化に現れているのだと思います。
7. 採用と社内教育
森:AIエンジニアの確保は大変だと思いますが、どうやって確保していますか?
小林:普通にエージェントさん経由の採用と、AIエンジニア、開発エンジニアの知り合い、お友達をご紹介いただいたり。ご兄弟を紹介いただいたケースもありました。
森:サーバーサイドのエンジニアをAIエンジニアにバージョンアップすることもやってまして、元々スキルセットが高い、地頭の良いエンジニアは、ウチの教育で更に活躍するというケースもございます。外部からの採用ももちろんやりますし、社内教育も、事業を大きくするのは資本金だけではなく人ですので、人への投資を行い、更にAIエンジニアとして輝いてくれると、我々にとっても非常に良いし、株主の皆さんにとっても良いのかなという考えです。
森:エンジニアの確保は実はそれほど苦労していなくて、毎年、AIエンジニアおよびサーバーサイドエンジニアは計画通り採用出来ていますのでご安心ください。
8. 配当性向:増加の理由
森:配当性向が10%から20%になりましたが、背景を教えて下さい、というご質問です。
小林:上場前から、上場して弊社を応援してくださる株主様を持つからには、ちゃんと利益を出して、配当も出したい、という思いを持っていました。なかなかそれが出来ている会社さんは少ない。去年は10%を出すことが出来て、今年はもっとやりたい、と思い、10%から20%に増やさせていただきました。
9. アメリカ進出と特許戦略
森:御社は日本国内での特許申請、認定に関しては、他社の参入を許さない確固たる特許戦略をされていると思います。アメリカでの事業に関しては、他社のアメリカ国内の特許関連で、御社の事業展開にとって支障になる可能性はございますか?というご質問です。
小林:うーん、難しい、森さんお願いします。
森:私たちの特許は、海外にも使える特許の取り方をしています。海外に出願するのとは別の話なのですが、ここは(取っておくべき)というものは、アメリカでも申請する。日本で申請した日と同じ日で取ることが可能ですので、必要に応じて、お金をかけて対応していくことだと思っております。
10. 当社へのご要望(2)
森:先ほどは質問を取り上げて戴いてありがとうございます、と。いえ、こちらこそありがとうございます。とても握力が強まるお話でしたね、と。この内容を議事録としてIRニュース化していただけると、より多くの方に届くと思うのですが、いかがでしょうか。
小林:前向きに検討したいと思います。これはすぐにやりたいかな。
森:これは持ち帰って、前向きに。せっかくマネックスさんの動画を見ていただいていますので。検討したいと思います。
11. 最後に:株主の皆様へ
森:今日のご質問は以上ですが、最後に、株主の皆様に、IRとしてアピールがあれば。あ、目標株価とかもしあったら。
小林:いや、何言ってるんですか。
森:あるいは、機関投資家の方が、どれくらいの株価をイメージしているのか。あったりしますか?
小林:決して煽りたくはないんですよ。適正株価は皆さんが判断するものだと思います。ただ、この間、機関投資家さんとのミーティングで、時価総額1,000億が見えてきたんじゃないかとおっしゃっていただいたのは嬉しかったです。
森:なぜそう思われたのでしょう?
小林:やはり経理シンギュラリティではないでしょうか。これまでの固い成長(債務処理関連の製品販売)が止まるわけではなく、この上に、更に経理シンギュラリティと海外が乗っかってくると。これで、1,000億が見えてきたんじゃないかとおっしゃっていました。
森:ご視聴いただいている株主さんのお立場に立って考えると、我々が出す経理シンギュラリティ系のお客様の獲得が出来ましたよ、とか、そういった開示があった時に、グーっと伸びる可能性があるので、ウォッチしたり、先に仕込んだり、そういったところがあると思います。私もマネックスさんを使ってもう20年以上なので、この辺は個人投資家さんとしては、打ち方、株の買い方は個人にゆだねられるわけなのですが。非常に足元は堅調ですし。こういったトピックというか、トレンドですね。トレンドを見誤らないように。技術イノベーションが起きる時は、結構ばっと拡がるんですよね、周りが。1社だけが伸びるのではない。いま生成AIというのが、非常にブレイクスルーがアメリカでも起こっているのですが、過去のイノベーションでいうと、産業革命であったり、大航海時代の時に動力が新たに発明された産業革命、羅針盤とか航海技術とか、天文学でブレイクスルーがあった大航海時代というのは、1社だけががーっと伸びたのではなく、周りで2、300という形で色んな起業家が出て、そこに投資された投資家さんがリターンを得ることが出来た。
我々の場合ですと、このシンギュラリティというのが、今ちょうど起こり始めているタイミングです。実績として公表が出てから買うのも良し、もうちょっと先に張りたいですよというのであれば、それはそれでご判断いただくのも宜しいのかな、と、一個人投資家としては思いました。
小林:早く事例を出したいですね。
森:そうですね。事例は必ず出てくると思いますので。適切なタイミングで適時開示して、皆さんにお伝えしていきたいなと思います。今日は以上になります。ご視聴くださいましてありがとうございました。